ReactOSをRaspberry Piで動かせる?Pi 4・Pi 5対応状況を調査

ReactOSはRaspberry Piで動作可能になりつつあります。Pi 4では主にQEMU経由の実験的な環境、Pi 5ではARM64対応の進展により起動実験まで到達していますが、普段使いできる段階ではありません。

Windows互換を目指すオープンソースOS「ReactOS」が、長年の課題だったARM系ハードウェアへの対応で大きな一歩を踏み出しました。

特に注目されているのが「ReactOS Raspberry Pi 5」への対応です。

一方で「ReactOS Raspberry Pi 4」で検索すると、Windows 95やXP風の環境を再現した派生プロジェクトなども見つかるため、実際にReactOS本体がラズパイ上で動いているのか混乱しやすい状況です。

今回はReactOSのRaspberry Pi対応状況について、Pi 4とPi 5の違い、ARM64移植の背景、そして今後の可能性を整理します。

ReactOS Raspberry Pi対応とは?Pi 4・Pi 5で何が変わったのか

ReactOSは、Microsoft Windows NT系OSとの互換性を目標に開発されているオープンソースOSです。

一般的なLinuxディストリビューションとは異なり、Linux上でWindowsアプリを動かすWineのような互換レイヤーではなく、Windows NTの仕組みを参考にしたOSそのものを一から開発しています。

これまでReactOSは主にx86(Intel・AMD系CPU)向けに開発されてきました。

しかし2026年5月、ReactOSはARM64アーキテクチャへの実験的対応という大きな節目を迎えました。

技術系メディア「The Register」は、ReactOSのARM64版がRaspberry Pi 5でも起動実験されたことを報じています。

ただし、ここで注意したいのは「Raspberry PiでWindowsのような環境が普通に使える」という意味ではないことです。

現時点では、ReactOSのARM64対応はあくまで実験段階です。

OSの起動、デスクトップ表示まで到達したこと自体が大きな成果であり、実用OSとして利用する段階とは大きな差があります。


ReactOS Raspberry Pi 4は動く?過去の実験環境を確認

「ReactOS Raspberry Pi 4」というキーワードで検索すると、2020年頃に話題になった「Raspbian95」や「RaspbianXP」が多く見つかります。

これらはRaspberry Pi 4 Model B上で、Windows 95やWindows XP風の見た目を再現したLinuxベースのプロジェクトでした。

参考記事では、この環境の内部にReactOSが利用されていることが紹介されています。

ただし、これはRaspberry Pi 4上でReactOSが完全なネイティブOSとして動作しているという意味ではありません。

QEMUという仮想化技術を利用してReactOSを動作させ、その上にWindows風の操作環境を構築したものです。

また、当時のRaspberry Pi 4向け環境ではCPUのクロックアップが必要とされていました。

Raspberry Pi 4の性能では余裕が少なく、設定変更による負荷や安定性への注意も必要でした。

つまりPi 4について整理すると、以下のようになります。

  • Raspberry Pi 4でReactOSを利用した実験環境は存在する
  • Windows風環境「Raspbian95」「RaspbianXP」として紹介された例がある
  • ReactOSがPi 4向けOSとして成熟していたわけではない
  • 実用目的ではなく技術デモに近い

個人的には、Pi 4時代の取り組みは「小型コンピューターでWindows互換OSを動かす」という夢を見せてくれた点に価値があったと感じます。

ただし、OS移植では見た目よりもCPU命令、ドライバー、起動処理など低い階層の対応が重要です。


ReactOS Raspberry Pi 5対応はなぜ注目されている?

ReactOS Raspberry Pi 5対応が注目される理由は、ARM64対応という技術的な壁を越えたからです。

ARM64とは、現在のスマートフォンやApple Silicon搭載Mac、最新のWindows on ARM端末などで使われているCPUアーキテクチャです。

ReactOS開発者にとってARM64移植は単純なCPU変更ではありません。

必要になる作業には以下のようなものがあります。

  • ARM64向けカーネル対応
  • システムコール処理の調整
  • 例外処理の実装
  • 起動ローダーとの連携
  • ハードウェア割り込み処理への対応

ReactOSフォーラムでも、2018年時点ですでにARM対応について議論されていました。

当時、開発者からは「ARM開発者が不足していること」が大きな課題として挙げられていました。

また、ARM版を作るには単にコンパイルするだけではなく、ARM専用の処理を追加する必要があることも説明されています。

その後、長い時間をかけてARM64対応が進み、2026年には一人の貢献者が約8か月かけてARM64起動まで到達しました。

この点は、オープンソース開発の面白さを象徴する出来事です。

大企業が大量の人員で進める開発とは違い、一人の開発者の挑戦がプロジェクト全体を前進させることがあります。


ARM64版ReactOSを動かすための条件とは?

現在のARM64版ReactOSには、いくつかの技術条件があります。

報告されている条件では、以下のような環境が必要です。

  • ARMv8-A以降のプロセッサ
  • UEFI対応ARM64システム
  • GICv2またはGICv3割り込みコントローラー対応

GICとは、ARM系CPUで周辺機器からの割り込み信号を管理する仕組みです。

パソコンで例えるなら、CPUと各デバイスが正しく会話するための交通整理役のようなものです。

Raspberry Pi 5が特別扱いされている理由もここにあります。

Pi 5はARM Cortex-A76ベースの64bit CPUを搭載し、以前のRaspberry Piシリーズより大幅に性能が向上しました。

そのため、ARM64対応OSの実験対象として現実的な性能を持っています。

ただし、すべての機能が利用できるわけではありません。

ネットワーク、USB、GPUなどのドライバー対応はOS移植における大きな課題です。

OSが起動することと、日常利用できることの間には大きな距離があります。


ReactOS ARM64対応はWindows互換OSの未来を変えるのか?

ReactOSのARM64対応は、単なるラズパイ向けニュースではありません。

現在、コンピューター業界ではCPUの流れが大きく変化しています。

AppleはMシリーズチップによってARMベースのMacを普及させ、MicrosoftもWindows on ARMを展開しています。

これまでWindows互換を目指すReactOSは、事実上x86中心の世界にいました。

しかしARM64へ対応することで、将来的にはより多くのハードウェアを実験対象にできる可能性があります。

私自身、このニュースで最も重要だと感じたポイントは「Raspberry PiでWindows風OSが動くこと」ではありません。

本質は、1996年から続くReactOSという長期プロジェクトが、現代のCPU事情に合わせて進化できる可能性を示したことです。

30年近く前から始まったOS開発が、スマートフォンや省電力PCで主流になりつつあるARM64へ対応する。

これは古い技術を保存するだけではなく、新しいハードウェア時代へ適応する動きだと言えます。

一方で、現時点では期待しすぎるべきではありません。

ReactOS自体がまだアルファ品質のOSであり、ARM64版も実験段階です。

Windowsアプリを大量にインストールして仕事で使うような用途には向いていません。

しかし、OS開発を学ぶ人、古いWindows互換技術に興味がある人、組み込み機器で新しい可能性を探る人にとっては非常に興味深い存在です。

特にRaspberry Pi 5のような安価なARM64ボードで試せる可能性が出てきたことは、個人開発者にとって大きな意味があります。


ReactOS Raspberry Pi対応の今後はどうなる?

今後のReactOS ARM64対応で重要になるのは、起動成功から実用性への移行です。

OS開発では「電源を入れて画面が出る」段階はスタート地点にすぎません。

そこから、

  • 安定したドライバー対応
  • アプリケーション互換性
  • 周辺機器サポート
  • パフォーマンス改善

といった課題を一つずつ解決する必要があります。

Raspberry Pi 5についても、現時点では研究・実験向けという位置付けです。

ただ、ARM64対応という土台ができたことで、今後さらに対応ボードが増える可能性はあります。

ReactOSがWindows互換OSとしてどこまで成長できるかは未知数ですが、少なくとも「x86以外では難しい」という壁を一つ越えたことは間違いありません。

個人的には、ReactOSの魅力は完成品としての便利さだけではなく、OSという巨大な仕組みを個人でも追いかけられる教材のような存在になっている点だと思います。

Raspberry Piとの組み合わせは、その挑戦を身近に感じられる入口になるでしょう。


まとめ:ReactOS Raspberry Pi対応は実験段階だが大きな一歩

ReactOSはRaspberry Piで動作する可能性が広がっています。

Raspberry Pi 4ではQEMUを利用した実験的な環境やWindows風プロジェクトが存在しましたが、ReactOS本体のネイティブ対応とは区別する必要があります。

一方、Raspberry Pi 5ではARM64対応によって起動実験まで進みました。

ただし、現状はまだ実用OSではなく、開発者や技術愛好家向けの実験段階です。

それでも、Windows NT互換を目指すReactOSがARM64時代へ踏み出した意味は大きく、今後のOS開発や小型コンピューター活用の可能性を広げる重要な進展と言えるでしょう。


よくある質問

ReactOSはRaspberry Pi 4で普通に使えますか?

現在、Raspberry Pi 4でReactOSを一般的なPCのように利用できる状態ではありません。過去にはQEMUを利用した実験環境やReactOSを利用したWindows風プロジェクトがありましたが、日常利用向けではありません。

ReactOSはRaspberry Pi 5に正式対応していますか?

いいえ。2026年時点ではARM64対応は実験段階です。Raspberry Pi 5で起動実験が行われていますが、正式な製品版として安定利用できる状態ではありません。

ReactOSはWindowsアプリをそのまま動かせますか?

ReactOSはWindows互換を目標にしていますが、すべてのWindowsアプリが動作するわけではありません。特にARM64版では、まだ互換性やドライバー対応に多くの課題があります。

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